2021年4月にO’Reillyさんから発売された「ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方」という書籍の翻訳レビューに参加しました。
無事献本届きました。ありがとうございます。
翻訳レビューについて
一般のエンジニア読者の目線で翻訳された文章を読んで気になった所を指摘してほしいという感じでした。
参加した時点で、島田さん、角谷さんによる全体の翻訳は終わっており、基本的には日本語の文章を読んで指摘をする形だったので、特に英語の原著を読む必要はありませんでした。
やりとりはGithubのissueを上げる形で進めていました。もちろん原著があるので本の内容自体は決まっているため、読んでいて理解しにくい箇所、読みにくいと感じた箇所を挙げていました。
10月くらい?にTwitterで公募されていて、12月中旬に毎日ちょっとずつ読みながらissueをあげていく感じで参加していました。基本的には本一冊読む+自分がひっかかりを感じた部分をメモしておいてissueをあげていく程度の負荷でできたので、そんなに大変ではなかったなという印象です。本自体も長い方ではなかったので。
言葉尻とか語感が揃ってくるとするすると読めるように変わってくるなぁというのは面白い体験でした。
翻訳レビューの感想
指摘事項がなければissueに感想を書いてくださいとのことだったのですが、指摘も感想も両方書かれている方も多くて、色々な方の感想を読むことができました。
章ごとに感想を書かれていたり、本ではこう書かれているけど、でもこれ実際にやったらこういう問題起きるんじゃないの?という話や、それに対して著者の方がべつのところでこういう話をされてますね。みたいな議論をGithubのissue上でされていて、書籍の謝辞に書かれている通り読書会のような雰囲気でした。
個人的にはGithub上で行われていた議論のほうが本の内容そのものよりも「まぁたしかにそうだよなぁ」と思うところも多く面白かったです。この内容だけまとめて別本にならないですかね?笑
書籍の感想
Spotifyがどういう仕組みや文化をもって如何にスピードを落とさずに拡大を続けてきたかという内容になります。
ただ、やっぱり本に出てくる制度をそのまま日本の企業に適用しても多分効果は薄くて、自分たちの文化やプロダクトに合わせてチューニングしてやる必要があるのかなと思います。Spotify自体試行錯誤をした上でこの形になっているようです。(例えばOKRも以前は導入していたが合わないということでやめている)
なので、日本の企業においても何を目指すかを決めた上で、そこに向けて足元を見極めながら制度や文化作りをしていく必要があると思います。普通の話ですね。
効率ではなく遠くへ行くことを目指す
一方で何を目指すのかというところにおいてはOKRや以前読んだNetflixの本でも思ったのですが、「効率良く」やることを第一には置いていないんだなという感想を持ちました。
ここでいう効率の良さというのは強力なリーダーシップを発揮して全社一丸となって目標を達成するみたいな世界観のことですね。
Spotifyでは全社の目標をポーラルスターとして指し示しますが、があくまでSquadの自律性を維持していました。
会社として効率よくゴールを達成する。ではなく、会社がはじめ想像していたよりもはるかに遠くに行くためにはどうすれば良いか?ということにフォーカスしているのが、通底している部分なのかなと。
より遠くに行くという目的を組織の文化やプロダクトの性質にあわせて制度実装した結果こんな感じという理解で読んでいました。
本ではこう書かれているけど、自分たちの現場ではどう実現するか?ということを考えながら読む本だと思いました。